めまいの治療

近年増え続けている『めまい』の症状。当クリニックでは、専門のめまい相談医による詳しい検査・治療・指導をおこなっています。少しでも不安のある方は、ぜひご相談ください。

めまいの原因

めまいの症状は、春や夏に起こりやすい傾向にあります。天候や気圧・温度の変動や、生活習慣が変わることがめまいを引き起こす原因となっていると言われています。
ただし、その他にも原因はあります。めまいは、日常生活のストレスや疲れなどを抱えている方、強い不安を抱えている方にも多い症状です。また、脳の病気やその他の疾患が原因の場合もあります。
気にならない程度の小さなめまいだとしても、“頻繁に起こる”“症状が強くなっている気がする”など気になることがあれば、早めに医師の判断をあおぎましょう。

めまいの症状と種類

よくあるめまいの症状は、大きく分けて “ふらつき・立ちくらみ・ぐるぐる(回転性めまい)” の3つとされています。
症状を起こす原因は複数あり、患者様ご自身で判断することは難しいことも多いでしょう。
また、めまいは「弱いから大丈夫」「強いから大きな病気」という安易な判断ができるものではありません。逆に、脳などの病気からくるめまいの方が、症状がゆっくりあらわれることもあります。
ご自身の判断を過信しすぎず、違和感を感じられたら、早めに検査を受けることをおすすめします。

◇ふらつき(動揺性めまい)◇

脳幹や小脳にあたる所で起こるもの。歩くときにふらついてしまうなどの症状が出る。
脳の病気や自律神経失調症などの病気からくるものが多く、専門の医療機関での治療が必要。

*中枢性めまい:小脳や脳幹のトラブル。腫瘍や悪性発作性頭位めまい症、脊髄小脳変性症といった病気を発症する場合もある。脳神経外科のくわしい検査が必要。
*全身性めまい:自律神経失調症の症状が出ることが多く、平衡感覚が狂いやすくなる。また、貧血や発熱などの症状もここに含まれる。
*薬剤性めまい:薬の副作用でめまいを発症する。市販薬でも副作用で起こし、めまいの症状を引き起こすものがある。
*心因性めまい:自律神経失調症の場合が多い。原因不明と言われる場合の多くがこれ。精神的ストレスからくる場合も多い。

◇立ちくらみ(眼前暗黒感)◇

目の前が急に暗くなって立ちくらみを起こす種類のめまい。脳の血流が悪くなって起こると言われている。ひどくなると失神する場合もある。

*循環器系の障害:心臓に問題があることで、血液の量が減り、血圧が低下する。結果的に、脳に血液が送れなくなり、めまいを引き起こす。心臓の問題なので、内科や循環器科での受診が必要。
*体位変動によるもの:『起立性低血圧』とも言われる。本来なら座った状態からいきなり立った時、頭の位置が上に上がり血圧が高くなるのが一般的だが、何らかの理由で血圧が高くならず、めまいを引き起こす。一番多い原因は『自律神経失調症』。自律神経が狂い、血圧を身体の状態に合わせてコントロールできなくなり、めまいを引き起こす。
*出血によるもの:胃潰瘍などの病気が悪化して、体内で出血を起こし、気づかないうちに血液量が減っていく。結果、脳にいく血液量が減るために、めまいの症状を起こす。
*薬によるもの:高血圧の病気で『降圧剤』を飲んでいる方にみられる。薬が効きすぎて血圧が必要以上に下がり、脳が虚血状態になってめまいを引き起こす。
*その他の原因:ショックな出来事が起きることで急激な血圧低下を伴うこともある。また、アナフィラキシーショックなどアレルギー系の反応の場合や、お酒の飲みすぎで自律神経が麻痺して起こる場合もある。

◇ぐるぐる(回転性めまい)◇

耳の中にある三半規管で起こる。リンパ液が増える病気には『メニエール病』、炎症を起こす病気には『内耳炎』や『前庭神経炎』などがある。その他には、『良性発作性頭位めまい症』の可能性もある。耳鼻科で治療するのは、主にこの種類のめまい。

『メニエール病』のめまい

三半規管の中にあるリンパ液が増える病気。自律神経失調症により、ホルモンのバランスが崩れたり、抵抗力が低下したり、血行が悪くなったりすることから、めまいが引き起こされる。めまいの発作中は、片側の耳鳴り、難聴、耳づまり、吐き気などの症状を引き起こす。発作を繰り返すたびに難聴が進行するのが特徴。

『内耳炎・前庭神経炎』のめまい

『内耳炎』は、中耳炎のあとなどに鼓膜がふさがらず、穴から内耳に菌が入ったり、内耳に炎症が起こる病気。
『前庭神経炎』は、特に風邪などの症状の後に発症することも多く、ウイルス感染が原因とされている。自律神経失調症が原因であることも多い。

『良性発作性頭位めまい症』のめまい

めまいの中で最も多い病気。寝返りをうった時や起床時など、頭を動かしたときに起こるめまい。時間にして30秒以内で収まるのが一般的。安静にしているとおさまるのが特徴。
このめまいの原因は、三半規管のリンパ液の中に耳石というカルシウムが混入したため。頭の位置を変えたときに重さのある石がリンパ液よりも遅れて移動しようとするために、めまいを引き起こすとされている。

『悪性発作性頭位めまい症』のめまい

脳の小脳で起こる。小脳が委縮する病気や脳腫瘍、脳梗塞などからめまいを引き起こすことが多い。命にかかわる病気や進行する病気であることが多い。良性でも悪性でも、めまいの症状は似ているので注意が必要。

当クリニックで治療できる症状

めまいを引き起こす原因はさまざまで、中には脳の病気や自律神経の障害による場合もあります。当クリニックでの治療は、『回転性めまい』を引き起こす内耳性のもの(耳の不調で起こるめまい)を中心におこなっております。めまいの最も多い原因が、内耳性のものと言われています。もし、脳に障害がある病気によって引き起こされためまいと判断した場合は、内科や脳神経科のあつかいとなります。
当クリニックでの治療が可能かどうかは、検査の結果を見て判断させていただいております。他の医療機関での治療が必要と判断した場合は、当クリニックから他の医療機関への連絡・紹介をおこなっています。
気になる症状がある方は、一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。

めまいの検査

めまいの原因は、耳の不調・脳の異常・病気・ストレス・体調不良など、様々な要素が重なって起こることが多いとされています。そのため複数の検査をおこない、本当の原因を探る必要があります。
当クリニックでは、聴力検査や平衡検査をはじめ、複数の検査をおこなっています。

*VOR検査:めまいの検査や、メニエール病・前庭神経炎などの経過を観察する時に使う。また中枢性めまいとの鑑別に使います。頭部に回転刺激をあたえて、眼球運動を測定する。内耳が正常に機能しているかを調べるもの。
*CTカメラ:めまいは脳の病気によって引き起こされることも多いため、CT検査をすることで、原因の早期発見につながることもある。
*重心動揺検査:立位をとるだけで体の負担が少ない検査で中枢疾患との鑑別やふらつきの経過観察に使えます。

片側の耳鳴りや難聴からはじまり、ふらつきや頭痛などを引き起こす『聴神経腫瘍』などの病気が、くわしい聴力検査やめまい検査、CTカメラなどの検査によって、早期発見されることも多くあります。

めまいの治療

基本的には、“生活指導・平衡機能訓練・内服・点滴”などの治療をおこなっていきます。
よく使用するのは、抗めまい薬・吐き気止め・利尿剤・自律神経調整薬・血液循環改善薬などです。
症状によっては、鼓膜切開やチューブを入れるなどの『外科的治療』や、中耳圧のコントロールやはがれた耳石をもとの位置に戻す『理学療法』などを取りいれることもあります。
治療内容は、症状の度合いや個人によって異なります。くわしい説明は、治療前におこなっております。ご不明点、疑問点などはその際にお聞かせください。

めまいとのつきあい方

めまいは、頻度や強さをある程度おさえることはできますが、完治が難しい症状とされています。
そのため、“いかに『めまい』と上手くつきあっていくか”が大事なポイントです。
当クリニックでは、以下のことを患者様にお伝えしています。

*『めまい』を怖がらない
*普段からよく身体を動かす
*危ない『めまい』には気をつける
(激しい頭痛や手足がしびれるほどの『めまい』は、脳の疾患などの大きな病気の可能性もあります)

めまいの対処方法として、自宅でできる簡単なリハビリのやり方や、水泳・頭を動かす体操などをおすすめすることもあります。患者様の状況に合わせておすすめしていきます。
分からないことがあれば、お気軽にご相談ください。

また、めまいの度合いや種類・感じ方は患者様によって異なるものです。あまり症状を感じにくい方は、「この程度なら診てもらうほどでもないかも…」と放置してしまうこともあるかもしれません。
しかし、放置して無理をすることはおすすめしません。
早めに耳鼻科にかかり、きちんと検査と診断を受けて、医師の判断をあおぎましょう。

ご予約・ご相談はお気軽に

  • 診療予約